【5分で読める小説】分岐点②/ゆるつむり

ピピピという音が鳴った。
音はズボンのポケットから聞こえる。
ポケットに手を入れてみるとどうやらスマートフォンのような
物があった。
音はすぐに消え、真っ黒の画面だけが映し出されている。
ボタンのようなものはない。
『なんだこれは…』
不思議に思いつつもスマホのようなものを
再度ポケットに入れた。
そしてまた井戸を降りていく。
するとだんだんと明るくなってくる。
『空だ…』
井戸を降りた先は地上。
また最初の風景が広がっている。
『…おい、まてよ。井戸を降りたはずだよな…』
そう。確実に井戸を降りたはずなのだ。
だが地上に戻ってきた。
『どうなっているんだ…』
周りを見渡しながら地面に足がつく。
そして目の前にはまた分岐点があった。